キウイフルーツは、マタタビ科に分類される中国原産のつる性植物です【1】。
同じマタタビ科の食材は少なくサルナリのようなキウイの近縁種がほとんどです。
キウイの果実の分類上は液果類に分類されます。
液果類は成熟すると果肉細胞がほぼ液胞で占められ外皮以外が多肉・多汁質になります。
キウイの作物としての歴史は短く、国際的な市場に出回り始めたのは1970年代になります。
中国原産のサルナリがニュージーランドで品種改良されて誕生しました。
・キウイの8割は輸入品でその内の9割はニュージーランド産
国産のキウイは11月~12月頃の限られた時期に出回る。
詳しくは→1.生産方法 キウイはこのようにしてできるへ
・キウイの果肉は品種の違いにより緑、黄、赤色のものがある
黄、赤色のキウイは、緑色のものよりも甘いが貯蔵性が悪く流通しにくい。
詳しくは→2.キウイの特徴 風味や食感、品種ごとの違いについてへ
・キウイはビタミンCが豊富に含まれている
キウイの主要な食品成分については→3.キウイの栄養評価へ
・キウイは2等分にしてスプーンですくって食べるのがおすすめ!
その他にもステーキソースの材料としても使える。
詳しくは→4.キウイの選び方、調理方法、保存方法へ
1.生産方法 キウイはこのようにしてできる
キウイは野菜と異なり、果実が十分にできる樹木を作るまでに10年近く必要といわれています。
キウイは8割が輸入品でその内9割がニュージーランド産です。
輸入品は4月~12月頃まで出回っていますが国産品は11月~12月の間までしか一般的には流通しません。
栽培可能な条件は冬を除く年間の平均気温が19℃で最低気温が-7℃以上の比較的温暖な気候である必要があります【3】。
日本では主に愛媛県、福岡県、和歌山県で栽培されています。
キウイは乾燥に極端に弱く、水害に弱く根腐れも起こしやすいため排水性と保水性の高い土壌を好みます。
キウイは①枝の剪定 ②受粉・追肥 ③摘果 を経て収穫されます。
枝の剪定
キウイはつる性の樹木ですので枝が無秩序に伸びていきます。
枝の剪定は通常は樹木に過剰な消耗を行わせないために行われますが作業性が悪くならないように形を整える役割もあります。
キウイの果実は枝の分かれ目にできるため新しく枝分かれが起こった場合は古くて伸び続ける枝を剪定して新しい枝の伸長を促します。
受粉・追肥
キウイの花は6月頃に開花します。
キウイの品種のほとんどは樹木ごとに性別を持ち、受粉させるにはオス木とメス木の少なくとも2本の樹木が必要です。
受粉可能な期間は短く、開花してから約3日で受粉能力が失われてしますので受粉作業はとにかく早く行うことが重要です。
受粉後は果実の成長に多くのエネルギーが必要なため追肥を行います。
摘果
7月頃になり果実ができはじめると果実を適切な甘さや大きさなど品質を揃えるために余分な果実を取り除く摘果作業を行います。
摘果する数は周辺の葉の枚数や枝の長さをみて行います。
収穫
キウイの細毛に覆われた薄い果皮は熟成しても色が変わらないことから収穫のタイミングの見極めが難しいとされています。
キウイは品種ごとに収穫時期は異なり、収穫時期の目安や糖度計を用いて収穫時期を決定します。
2.キウイの特徴 風味や食感、品種ごとの違いについて
キウイはクライマクテリック型果実で収穫後も自身から発せられるエチレンにより熟成が進む果実です。
果肉は品種によって緑、黄、赤色があり、緑色が一番貯蔵性が高い品種であるためよく見かけることができます。
黄色と赤色の品種は甘味が強いですが、貯蔵性が低いため緑色の品種より珍しいです。
キウイの果肉にはアクチニジンと呼ばれる強力なタンパク質合成酵素を含むためお肉と一緒に漬けておくとお肉を軟らかくすることができます【4】。
キウイを食べると口の中が痒くなる時があるのはキウイに含まれる酵素とシュウ酸カルシウムの結晶によるものとされています。
キウイの香気成分
キウイの主要な香気成分は安息香酸エステルや酪酸エステルなどのフルーツ系の香りがするエステル類です。
酪酸エステルの1つである酪酸エチルはパイナップルの香りとしても知られています。
グリーン系の草の香りがするアルデヒド類の香気成分も含まれますが、熟成が進むことで減少していきます。
3.キウイの栄養評価
キウイは日本食品成分表で緑肉種と黄肉種の100gあたりの成分値が記載されています【5】。
今回はキウイの緑肉種と黄肉種の生状態での栄養評価をしていきます。
スマホ版は横スクロールで表全体を確認できます。
豊富に含まれている栄養素は濃い色、一定量含まれている栄養素は薄い色で強調表示しています。
脂質 | 炭水化物 | |||||||||
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食材名 | エネルギー kcal | 水分 g | たんぱく質 g | 脂質 g | 飽和脂肪酸 g | n-3系不飽和脂肪酸 g | n-6系不飽和脂肪酸 g | コレステロール mg | 炭水化物 g | 食物繊維 g |
キウイ 緑肉種 生 | 51 | 84.7 | 1.0 | 0.2 | 0.02 | 0.10 | 0.03 | 0 | 13.4 | 2.6 |
キウイ 黄肉種 生 | 63 | 83.2 | 1.1 | 0.2 | 0.05 | 0.04 | 0.05 | (0) | 14.9 | 1.4 |
・Trは未測定であるが、文献等により微量に含まれていると推定されるもの
・黄肉種の脂肪酸の成分値は類似食品から推計や計算により求めた値、または諸外国の食品成分表の収載値から借用した値、原材料配合割合を基に計算した値。
無機質 | ||||||||||
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食材名 | ナトリウム mg | カリウム mg | カルシウム mg | マグネシウム mg | リン mg | 鉄 mg | 亜鉛 mg | 銅 mg | マンガン mg | ヨウ素 μg |
キウイ 緑肉種 生 | 1 | 300 | 26 | 14 | 30 | 0.3 | 0.1 | 0.10 | 0.09 | 0 |
キウイ 黄肉種 生 | 2 | 300 | 17 | 12 | 25 | 0.2 | 0.1 | 0.07 | 0.04 | – |
ビタミン | ||||||||||
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食材名 | ビタミン A μg | ビタミン D μg | ビタミン E mg | ビタミン K μg | ビタミン B1 mg | ビタミン B2 mg | ビタミン B6 mg | ビタミン B12 μg | 葉酸 μg | ビタミン C mg |
キウイ 緑肉種 生 | 4 | (0) | 1.3 | 6 | 0.01 | 0.02 | 0.11 | (0) | 37 | 71 |
キウイ 黄肉種 生 | 3 | (0) | 2.5 | (6) | 0.02 | 0.02 | 0.14 | (0) | 32 | 140 |
ビタミンE :α-トコフェロールの値を記載
キウイにはビタミンCが豊富に含まれており、ほとんどの場合生で食べることから損失なくビタミンCを摂取できる優秀な食材です。
また、不足しがちなビタミンの1つである葉酸の摂取源としても有効な食材です。
4.キウイの選び方、調理方法、保存方法
キウイの選び方
キウイの鮮度は果実の硬さを調べるとおよその鮮度がわかります。
すぐ食べない場合は硬めのものを購入しておき常温で熟成させるといいでしょう。
すぐに食べる場合は熟した軟らかいものを選びましょう。
表面に傷が無い綺麗なものは貯蔵性に優れている良いキウイです。
キウイの調理方法
キウイは二等分にしてスプーンで果肉をすくって食べる方法が皮を器にすることもでき簡単な食べ方になります。
キウイを使ったソースを作り肉に漬け込むことで肉を軟らかくして食べることができます。
刻んだキウイとニンニクにオリーブオイルとレモン汁を加えて塩コショウで味付けしたソースはシンプルながらステーキに合うフルーツソースになります。
キウイの保存方法
熟したキウイは冷蔵保存で問題ありません。
果実がまだ硬く熟していない場合は常温で熟成を進めましょう。
近くにりんごのような熟したクライマクテリック型の果実を置いておくと早く熟成させることができます。
果物は呼吸が活発であるため熟成している場合は特に冷蔵保存したほうが呼吸を抑制し、保存性を高めることができます。
また、ラップで巻くか保存袋に入れておくとキウイ周辺の空気の組成を変えることができ保存性が高まります。
周辺に野菜や果物がある場合はキウイから発せられるエチレンで傷みやすくなってしまうのでその場合も保存袋に入れておくのがおすすめです。
保存性が高い果物なので適切に保存した場合の保存期間の目安は2~3週間ほどになります*1。
食材の状態、保存環境によって保存期間は変化します。
使用する際はカビの有無や乾燥状態など食材の状態を見たうえで使用するか各自で判断してください。
【5】日本食品成分表 2023八訂
キウイフルーツ
緑肉種 生
黄肉種 生 の数値を引用
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5年おきに改訂しているため最新版であることを確認した上で購入したほうがいいです(2024時点は8訂が最新)。
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