フレンチ

圧力鍋で作るコンソメダブル 従来よりも早く簡単にできる本格コンソメスープの作り方

調理時間
6時間
費用目安
2800円

コンソメダブルとは本格的な方法で作るコンソメスープを指す言葉です。

コンソメダブルの作り方は大きく分けて2つの工程に分けられます。
一つ目の工程はコンソメサンプルの作成です。
コンソメサンプルは動物の肉や骨からうま味やコラーゲンを抽出し香味野菜で風味を整えた洋風のだしです。
コンソメサンプルという名称はコンソメスープの材料として使われる名前で別名ブイヨンと呼ばれます。
ブイヨンはフランス料理のソースやポタージュなどあらゆる料理のベースとなるため、ブイヨンの作りかたを学ぶことはフランス料理の基礎の第一歩を踏み出したといえるでしょう。

2つ目の工程はスープを澄ませる工程です。
スープを澄ませる方法をフランス語でClarifications(クラリフィカション)といいます。
コンソメスープに卵白を練りこませたひき肉とみじん切りの野菜を混ぜ合わせることでうま味をさらに抽出し、そしてスープを澄ませます。

このように2回にわたってうま味を抽出することからConsommé double(コンソメダブル)と呼ばれるようになりました。

コンソメダブルを作るためには一般的な料理に比べ時間がかかり使用する材料もなじみがないものが多いかもしれません。
このレシピは本格的なコンソメスープをできる限り短時間でできるだけ揃えやすい材料で作ることのできる入門向けのレシピです。
材料や作り方は工程①コンソメサンプルの作成、工程②スープを澄ませるに分けて紹介します。

フランス料理の基礎であるブイヨンの簡単な取り方を学びたい
澄んだ琥珀色のきれいなスープをこの手で作ってみたい人は是非ご覧ください。

コンソメスープの材料の選び方や基本的な作り方を知りたい方はこちらを合わせてご覧ください。

仕様設備・使用器具

使用設備:コンロ 使用器具:はかり、包丁・まな板、ザル・ボウル、圧力鍋、木べら、お玉、キッチンペーパー

ザルはなるべく網目の細かいものを使用すると澄んだきれいなスープを作ることができます。
粉ふるい器やシノアがあればそちらを使用してください。

工程①:コンソメサンプルの作成 材料

材料 (1.5L分)
分量
牛すじ肉
500g
鶏がら
400g
1.5L
にんじん
100g(2/3本) 
トマト
200g(1個)
たまねぎ
150g(2/3個)
セロリ
90g(1本)
にんにく
5g(1片)
食塩
9g
ローリエ
1枚

鶏がらは下処理として水で洗い内臓や血の塊を取り除きましょう。
にんじん2/3本やたまねぎ2/3本などの残りは次の澄まし工程で使用します。

工程①:コンソメサンプルの作成 作り方 

1

牛すじ肉と鶏がらを沸騰するまで強火で煮込む。

2

煮立ったら弱火にして灰汁を取る。

3

灰汁がある程度とれたら香味野菜とスパイスを入れる。

4

蓋をして3時間煮込む(圧力がかかってから計測開始)。

5

スープを濾す(コンソメサンプルの完成)。

工程②:スープを澄ませる 材料(1L分)

材料
分量
コンソメサンプル
1.5L
牛ひき肉
450g
にんじん
(1/3本)50g
たまねぎ
(1/3個)80g
卵白
1個

工程②:スープを澄ませる 作り方

1

細かく刻んだ肉・野菜に卵白を練り合わせる。

2

練り合わせたものにコンソメサンプルを少しずつ加える。

3

木べらで攪拌しながら強火で加熱する。

4

スープが白濁し始めたら攪拌をやめて弱火にする(60℃付近)。

5

ひき肉の塊が浮いてきたら鍋の端に寄せて真ん中に穴を開け、1.5時間煮込む。

6

網目の細かい濾し器にクッキングペーパーを敷き、スープを濾す。

7

食塩で味を調節して温めた状態で盛り付ける。

作り方の詳しい解説

工程① コンソメサンプルの作成

1.牛すじ肉と鶏がらを沸騰するまで強火で煮込む。

動物の血や内臓はスープの濁りや悪臭の原因となるためあらかじめ水洗いをしておきましょう。
よりていねいな方法として1晩流水で血や汚れを流す方法や熱湯をかけて煮込み始める方法、1分間下茹でする方法があります。
どれも鶏がらの臭みを消す方法で鶏がらスープなどのシンプルな材料でスープを取る時には有効な方法です。

だしを取ることを目的として煮込むので牛すじ肉と鶏がらを入れてから加熱を始めます。
長時間煮込む為、食材は煮崩れが起こりやすいことを意識しましょう。
鍋に入るサイズの大きめに食材を切り分けて鍋に入れていきます。

アレンジ:使う食材を変える ブイヨンの材料に向いている食材①

ブイヨンの材料に向いている食材の条件の1つとして、うま味成分とコラーゲンが多く含まれているというものがあります。

うま味成分が多く含まれている肉の部位は運動量が多い肩や足周りの肉でブイヨンの材料として牛すね肉が良く使われます。

コラーゲンが多く含まれている食材として今回は鶏がらを使用していますが、牛骨を使用する場合があります。
牛骨を使用した場合のコンソメスープは牛特有のコクのある仕上がりのスープになりますが、コラーゲンの抽出に時間がかかり、鶏がらより費用がかかることから今回は使いませんでした。

使用する食材を置き換えることでスープの印象が変わるのでぜひ試してみてください。

2.煮立ったら弱火にして灰汁を取る。

コンソメサンプルは穏やかに沸騰している状態で長時間煮込むのが理想です。
そのため沸騰し始めたら弱火にして火加減を調節します。
材料に火が入り始めるとアクがでてくるのでとっていきます。
お湯を入れたボウルを用意しそこに取った灰汁を捨てておくとお玉がきれいな状態でアク取りができます。
スープを捨てずにうまくアクを取り除くには穴あきのお玉があると便利です。

3.灰汁がある程度とれたら香味野菜とスパイスを入れる。

アクがある程度とれたら香味野菜(にんじん・トマト・たまねぎ・セロリ)とスパイス(にんにく・ローリエ)を加えていきます。
ちなみにこのタイミングで食塩を加えておくとスープを取り終えた材料に味がついて食べやすくなります。
捨てるのがもったいないと思う人はこちらの方法を試してみてください。
ブイヨンとして他の料理にも使う場合は食塩を加えない方が使いやすいブイヨンになります。

にんじんやセロリは2~3等分、トマト・たまねぎはそのままいれて大丈夫です。
鍋に入れにくい場合は適当な大きさに切りましょう。
煮崩れしやすい食材ほど大きめで入れるのが好ましいです。

セロリは茎だけを使う場合が多いですが、葉のほうが強い香りを持ちます。
スープを濾す時にていねいに葉を取り除けば濁りの心配もないのでセロリの葉の使い道に困った場合はコンソメサンプルの材料に使いましょう。

アレンジ:使う食材を変える ブイヨンの材料に向いている食材②

ブイヨンの材料に向いている食材の条件の1つとして、香気成分が多く含まれているというものがあります。

その役割をになっているのが香味野菜と香辛料です。
今回使用している香味野菜はにんじん、たまねぎ、セロリなど手に入れやすい材料ですがより本格的な仕上がりにしたい場合はたまねぎの一部をポロネギに置き換えるのがおすすめです。
ポロネギは風味が強くスープの風味を変化させます。
また、にんじんやたまねぎの量を増やすと甘くなるといったような材料の変化で味も変わっていきます。

香辛料はローリエの他にもクローブや黒こしょうなどが使われる場合があります。

使用する食材を置き換えることでスープの印象が変わるのでぜひ試してみてください。

4.蓋をして3時間煮込む(圧力がかかってから計測開始)。

材料をすべて加えたら蓋をして圧力を加えて加熱していきます。
圧力の強さは圧力鍋の製品によって変わると思いますが、私の愛用しているWMFのパーフェクト+の圧力鍋の場合は1段階のオレンジリングの圧力を維持して加熱しました(最大2段階)。
長時間加熱するため圧力が最大になりやすいです。
圧力がかかったらできる限り弱火で加熱していきます。

圧力鍋リング

アレンジ:スープの色を調節する

コンソメサンプルの色の調節は以下の写真を参考にしてください。
レシピ通りに圧力鍋で3時間の加熱すると琥珀色のコンソメダブルに仕上げることができます。

圧力鍋で2時間加熱した場合は黄金色のスープになります。
この仕上がりは一般的なコンソメサンプルの煮込み時間である6時間と同等の仕上がりとなります。

圧力鍋で1時間加熱した場合は白色のサッパリとした仕上がりのスープになります。
コンソメダブルの材料に使用するには少々物足りませんがシンプルでクセが無く、ブイヨンとしてフランスのソースの材料に幅広く使用する場合に向いています。
汎用性の高いブイヨンを作りたい場合は圧力鍋で1時間の加熱がおすすめです。

5.スープを濾す(コンソメサンプルの完成)。

スープを濾すときは2回に分けるときれいに効率よく濾すことができます。
1回目はザルを使ってゴロゴロとした大きな材料とスープを分けて、2回目は網目の細かい濾し器でキッチンペーパーを敷いて濾します。
こうすることで濾す時に詰まりが起こってスープがでなくなるのを防ぐことができます。

2回目のスープ濾し

工程② スープを澄ませる

1.細かく刻んだ肉・野菜に卵白を練り合わせる。

最初に卵白を泡立てるようにみじん切りにした野菜を混ぜていきます。
きめが細かい状態にしておくとよりきれいにスープの濁りを吸着することができます。

野菜を混ぜた後はひき肉を混ぜていきます。
具材が均一に混ざるようにしましょう。

 

2.練り合わせたものにコンソメサンプルを少しずつ加える。

次にコンソメサンプルを加えていきます。
スープにひき肉が均一に分散するように混ぜながら少しずつ加えていきます。
3~4回にわけてコンソメサンプルを加えていきます。

3.木べらで攪拌しながら強火で加熱する。

最初は木べらで混ぜながら加熱していきます。
混ぜながら加熱するのはひき肉が沈殿してなべ底が焦げ付きやすくなるためです。
八の字を描くように混ぜるのがコツです。

4.スープが白濁し始めたら攪拌をやめて弱火にする(60℃付近)。

ひき肉や卵白に火が通り、スープが白濁し始めたら攪拌をやめて弱火にしていきます。
火が通り始めた状態での攪拌や激しい沸騰状態は濁りの原因となります。
穏やかに沸騰した状態で煮込むことで濁りにくくなります。

5.ひき肉の塊が浮いてきたら鍋の端に寄せて真ん中に穴を開け、1.5時間煮込む。

加熱を続けていくと次第にひき肉の塊が浮いてくるようになります。
この状態になったら真ん中に穴を開けます。
真ん中に穴を開けることで蒸気を逃がし、スープはひき肉の塊をフィルターのようにして循環する対流が生まれます。
この状態で煮込み続けることで澄んだ琥珀色のスープに仕上げることができます。
煮込み時間は1時間~1.5時間が目安になります。

6.網目の細かい濾し器にクッキングペーパーを敷き、スープを濾す。

スープの濾す方法はコンソメサンプルの時とは違い最初から細かい網目の濾し器を使用します。
穴の開いたところからスープだけを静かにすくって濾していきます。
ひき肉の塊はしぼることでさらに液体がでていきますが油やにごりの原因となるため入れずに目に見える範囲のスープだけを濾しましょう。
濾してもまだ表面に油が浮いている場合はもう一度新しいキッチンペーパーで濾すことで取り除くことができます。

7.食塩で味を調節して温めた状態で盛り付ける。

最後に味見をして必要な場合は食塩で味を調節して盛り付けていきます。
コンソメサンプルの段階で食塩を加えた場合は味付けは不要です。
スープが蒸発し味が濃すぎる場合はお湯で出来高が1Lになるように薄めましょう。

盛り付けるスープカップは提供前にお湯を入れておき、温めておくことで盛り付けのときに温度を下げずに提供することができます。

今回使用した食材の詳細はこちら

サイト管理人

高木駿介

 

管理栄養士
趣味:料理、映画鑑賞(SFやヒーローもの)
食品会社の社会人1年目で休日ではサイト運営と食品テクノロジーについて調べています。

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