れんこんはアジア原産のハス科の植物である蓮(ハス)の根茎です【1】。
ハスは根茎以外も実を食べることができます。
・れんこんは収穫前に地上部の茎や葉を刈り取ることで白いれんこんが作られる
白色の根菜類であるため土で色が変わらないように工夫がされている。
詳しくは→1.生産方法と旬の時期 れんこんはこのようにしてできるへ
・れんこんのシャキシャキとした食感はフェルラ酸と呼ばれるフェノール化合物が関係している
フェルラ酸が細胞壁に結合すると加熱してもシャキシャキとした食感は変わらない。
詳しくは→2.れんこんの特徴 食感や色素についてへ
・れんこんはカリウムやビタミンCを含む食材
その他の食品成分については→3.れんこんの栄養評価へ
・れんこんの変色防止には酢水につけるのがおすすめ!
鉄製品の器具で調理しても変色するため気になる場合はステンレス製のものを使用するといい。
詳しくは→4.れんこんの選び方、調理方法、保存方法へ
1.生産方法と旬の時期 れんこんはこのようにしてできる
れんこんは作型によって収獲時期をずらすことができ、通年にわたって流通可能な食材です。
秋から冬の時期がれんこんの旬になります。
温暖な気候を好み粘土質な土壌で田んぼのように水を張って栽培します。
根菜類であることから植え付けは苗の状態では無くハスの種を使います。
収獲前には渋抜きのために地上部の葉や茎の刈り取りを行います。
葉や茎がついた状態でれんこんを収穫するとれんこんに酸素が供給され周りの鉄が酸化し赤く変色したれんこんとなります。
品質上は問題がありませんが見た目がわるくなることからこのような処理が行われるのです。
2.れんこんの特徴 食感や色素について
れんこんはシャキシャキとした食感が特徴で野菜の中では水分が少なくデンプンが多く含まれているのが特徴です。
ポリフェノール含量が多く切り口が空気にふれるとれんこんに含まれるポリフェノールオキシダーゼという酵素が反応し褐変を起こします。
れんこんの食感
れんこんのシャキシャキとした食感は加熱しても失われることはありません。
これはレンコンの細胞壁の成分にフェルラ酸というフェノール化合物が結合し熱によって溶けださないように作用するためです【3】。
3.れんこんの栄養評価
れんこんは日本食品成分表で生の成分値に加え、ゆでや、甘酢れんこんなどの100gあたりの成分値が記載されています【4】。
今回はれんこんの生とゆでの状態での栄養評価をしていきます。
れんこんはカリウムとビタミンCを含みます。
ゆで調理を行うとどちらの栄養素も流出しやすいため効果的に栄養素を摂取したい場合は炒め料理がおすすめです。
スマホ版は横スクロールで表全体を確認できます。
豊富に含まれている栄養素は濃い色、一定量含まれている栄養素は薄い色で強調表示しています。
脂質 | 炭水化物 | |||||||||
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食材名 | エネルギー kcal | 水分 g | たんぱく質 g | 脂質 g | 飽和脂肪酸 g | n-3系不飽和脂肪酸 g | n-6系不飽和脂肪酸 g | コレステロール mg | 炭水化物 g | 食物繊維 g |
れんこん 根茎 生 | 66 | 81.5 | 1.9 | 0.1 | 0.01 | Tr | 0.02 | 0 | 15.5 | 2.0 |
れんこん 根茎 ゆで | 66 | 81.9 | 1.3 | 0.1 | 0.01 | (Tr) | 0.02 | (0) | 16.1 | 2.3 |
・Trは未測定であるが、文献等により微量に含まれていると推定されるもの
・れんこん 根茎 ゆでの脂肪酸の成分値は類似食品から推計や計算により求めた値、または諸外国の食品成分表の収載値から借用した値、原材料配合割合を基に計算した値。
無機質 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
食材名 | ナトリウム mg | カリウム mg | カルシウム mg | マグネシウム mg | リン mg | 鉄 mg | 亜鉛 mg | 銅 mg | マンガン mg | ヨウ素 μg |
れんこん 根茎 生 | 24 | 440 | 20 | 16 | 74 | 0.5 | 0.3 | 0.09 | 0.78 | 9 |
れんこん 根茎 ゆで | 15 | 240 | 20 | 13 | 78 | 0.4 | 0.3 | 0.05 | 0.80 | – |
ビタミン | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
食材名 | ビタミン A μg | ビタミン D μg | ビタミン E mg | ビタミン K μg | ビタミン B1 mg | ビタミン B2 mg | ビタミン B6 mg | ビタミン B12 μg | 葉酸 μg | ビタミン C mg |
れんこん 根茎 生 | Tr | (0) | 0.6 | 0 | 0.10 | 0.01 | 0.09 | 0 | 14 | 48 |
れんこん 根茎 ゆで | Tr | (0) | 0.6 | 0 | 0.06 | 0 | 0.07 | 0 | 8 | 18 |
ビタミンE :α-トコフェロールの値を記載
4.れんこんの選び方、調理方法、保存方法
れんこんの選び方
新鮮なれんこんは切り口が白色なものになります。
れんこんの切り口は空気に長時間触れると褐変反応を起こすため鮮度の指標となります。
れんこんの調理方法
調理中のれんこんの褐変は味には問題はありませんが見た目が気になるかもしれません。
調理中に変色する条件は2つあります。
①切り口が空気に触れる
②鉄製の鍋やフライパンで調理する
①の対策として空気に触れないようにするには切った後は水につけておくことが有効です。
1%の酢水につけておくことで変色防止の効果が高まり、食感もよりシャキシャキとしたものになります。
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編集中
れんこんの保存方法
れんこんは冷蔵保存がおすすめです。
乾燥に弱いため保存袋にいれて保存しましょう。
土付きの場合は新聞紙やキッチンペーパーでくるんだ状態で保存袋にいれて保存します、
適切に保存した場合の保存目安は1週間になります*1。
冷凍保存にする場合は冷凍のまま加熱調理できるように食べやすい大きさに切ったうえで保存袋にいれて保存します。
適切に保存した場合の保存目安は2~3ヶ月になります。
食材の状態、保存環境によって保存期間は変化します。
使用する際はカビの有無や乾燥状態、冷凍の場合は冷凍焼けしていないかなど食材の状態を見たうえで使用するか各自で判断してください。
参考文献 下線ありのものはクリックで参考先に飛ぶことができます。
【1】植物和名ー学名インデックス YList:Nelumbo nucifera Gaertn
【2】PDF:茨城県霞ケ浦環境科学センター 環境にやさしいれんこん栽培技術について
【3】香西みどり監訳:マギーキッチンサイエンス -食材から食卓まで、共立出版株式会社、2021、PP275
【4】日本食品成分表 2023八訂
れんこん 根茎 生
れんこん 根茎 ゆで
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