ポロネギは、ヒガンバナ科に分類されるヨーロッパ原産の植物です【1】。
西洋ネギ、リーキなどの名称で呼ばれることもあります。
ヒガンバナ科の仲間の食材としてネギ、たまねぎ、にんにくなどがありどれも風味に優れた食材です。
耐寒性が強く、冬季にも収穫が可能なため、冷涼な気候に適した地域で栽培されます。
日本では栽培が比較的少なく、生産量も限られていますが、その独特の風味や食感から、スープやブイヨンなどの西洋料理に広く使用されています。
・ポロネギの白い部分は土寄せという作業によってできる
旬の時期は秋~冬の寒い時期。
詳しくは→1.生産方法と旬の時期 ポロネギはこのようにしてできるへ
・ポロネギは風味が強く加熱するとトロリとした食感になる
スープやブイヨンの材料など煮込み料理に向いている。
食材の特徴については→2.ポロネギの風味と食感 見つからない場合の代替食品は?へ
食材の選び方や調理方法は→4.しょうがの選び方、調理方法、保存方法へ
・ポロネギは根深ねぎやたまねぎに比べてビタミンやミネラルが豊富!
詳しくは→3.ポロネギの栄養評価へ

1.生産方法と旬の時期 ポロネギはこのようにしてできる
ポロネギは、2月~3月頃にポットやトレイなどの小さな区画で種を植え、苗を育て始めます。
約3~4ヶ月後、草丈が7〜8cmに育つ頃に畑への定植を行います。
ポロネギの主要な可食部である葉鞘(ネギの白い部分)は、土を被せて日光を遮ることによって形成されます。
そのため、畑には深さ約20cmの溝を作り、そこに苗を定植します。日本の根深ねぎの栽培方法と同様、生育に合わせて追肥や土寄せを行い、葉鞘を伸ばします。
2月~3月頃に植えたポロネギは、11月~12月頃に収穫期を迎えます。
ポロネギの旬の時期は地域や気候によって異なるものの、一般的に秋から冬が旬とされます。日本の場合、旬とされる時期は11月~12月頃になります。
2.ポロネギの風味と食感 見つからない場合の代替食品は?
ポロネギの風味と食感は、加熱すると甘みが強く、トロリとしたクリーミーな食感になります。
これは、粘性物質の多糖類が多く含まれており、加熱するとぬめりが生じ、冷えるとゲル化する性質によるものです【3】。
そのため、ポロネギはスープや煮込み料理に向いており、料理にとろみとコクを与えます。
また、その風味が強いため、ブイヨンの材料としてもよく使われます。
ポロネギの代替食材としては、群馬県下仁田町の特産品である下仁田ネギが挙げられます。
下仁田ネギも加熱すると甘味が増し、トロリとした食感があり、ポロネギの特徴に近いです。
ただし、下仁田ネギは特産品であるため一般的な食糧販売店では入手が困難です。
そのため、入手しやすい代替食材としては、タマネギが挙げられます。
下仁田ネギほどネギ由来の風味はないものの、甘味はポロネギの甘さに比較的近いものとなります。
3.ポロネギの栄養評価
ポロネギの栄養成分を、似た食材である根深ねぎとタマネギと比較してみましょう(可食部100g当たり)。

この表は、比較的に差が大きい栄養素を抜粋したものです【4】。
その他の栄養素については、多少の違いがありますが、ほとんど差はありませんでした。
3つの食材を比較すると、ポロネギは他の2つの食材に比べてわずかですが、ビタミンやミネラルが豊富なようです。
4.ポロネギの選び方、調理方法、保存方法
ポロネギの選び方
新鮮なポロネギを選ぶコツは、緑色の葉がきれいで白色の部分がしっかりと弾力のあるものを選びましょう。
鮮度が落ちると先の方から変色していくので、葉の部分を見るのが有効です。
白色の部分がポロネギの美味しい箇所なので、葉の量が少なく白色の部分が多いものがおすすめです。
ポロネギの調理方法
ポロネギは白い部分は軟らかく食べやすいので煮込み料理以外にも焼き料理などでもおいしく食べることができます。
緑色の葉の部分は白い部分より硬いため調理法に工夫が必要です。
切り方や加熱方法について白い部分と緑色の葉の部分に分けて調理方法を紹介します。
下処理・切り方
ポロネギは土にかぶせて育成を行う性質状、葉と葉の隙間に土が入り込む可能性があります。
洗うときは根本を付けた状態で縦半分に切り開くようにして洗うことできれいにできます。
輪切りにして使用したい場合は外皮を剥いて洗うことで比較的きれいにできます。
ポロネギの白色の部分は煮込み料理にする場合は食感を残すために分厚く輪切りにすると食材の良さが活かされます。
ポロネギの緑色の硬い部分は繊維を逆らうように細かく切ることで食べやすくなります。
加熱調理
ポロネギは煮込み料理に向いている料理ですが白くて柔らかい部分は焼き料理でもおいしく食べることができます。
スープに入れる前に焼き色を付けて煮込むことでポロネギの煮崩れを防止し香ばしい風味をつけることもできます。
食感ではなく風味を活かしたい場合はポロネギを細かくしてヴィシソワーズのようなポタージュの材料にする方法もおすすめです。
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ポロネギの保存方法
野菜は収穫後も生きているので、時間が経つにつれて風味や栄養素が減少してしまいます。
そのため他の食材と同様にできる限り早く消費した方がおいしく食べることができます。
ポロネギを新鮮な状態で保つためには、ポロネギの細胞の呼吸を制御し冷蔵庫で保存することが重要です。
密閉できる袋で包装されている場合は、結露に気を付けて袋から空気を抜いた状態で保管しましょう。
保存目安は1週間です*1。
長期保存したい場合は料理に使う形で切りジップロックで冷凍保存する方法が有効です。
使用するときは解凍せず煮込み料理に直接入れましょう。
冷凍により細胞が壊れているため水分が出やすく焼き色を付ける調理には向いていません。
保存目安は1ヶ月です。
食材の状態、保存環境によって保存期間は変化します。
使用する際はカビの有無や乾燥状態、冷凍の場合は冷凍焼けしていないかなど食材の状態を見たうえで使用するか各自で判断してください。
参考文献 下線ありのものはクリックで参考先に飛ぶことができます。
【1】植物和名ー学名インデックス YList:Allium ampeloprasum L.
【3】香西みどり監訳:マギーキッチンサイエンス -食材から食卓まで、共立出版株式会社、2021、PP302-303
【4】日本食品成分表 2023八訂
ポロネギ:リーキ りん茎葉,生の数値を引用
たまねぎ:たまねぎ りん茎,生の数値を引用
根深ねぎ:根深ねぎ 葉,軟白,生の数値を引用
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