根深ねぎは、ヒガンバナ科に分類される東アジア原産の植物です【1】。
ヒガンバナ科の仲間の食材としてポロネギ、たまねぎ、にんにくなどがあり、どれも風味に優れた食材です。
可食部の葉鞘(ようしょう)と呼ばれる軟白部は土を被せ日光を遮ることで作られます。
・根深ねぎの軟白部は植物の生長に合わせて土で遮光することによって作られる
旬の時期は11月~2月頃だが、様々な栽培型があるため通年で流通することができる。
詳しくは→1.生産方法と旬の時期 根深ねぎはこのようにしてできるへ
・根深ねぎはヒガンバナ科特有の香りを持ち、加熱することでトロリとした食感になる
詳しくは→2.根深ねぎの特徴 風味や食感についてへ
・根深ねぎの軟白部は葉酸を含む
緑葉部は食品成分表に記載されていないが葉ねぎの栄養価に近くビタミン類が軟白部より多く含まれている。
その他の食品成分については→3.根深ねぎの栄養評価へ
・根深ねぎは特有の香りを活かした調理方法がおすすめ!
軟白部は生の状態で薬味として利用できる。緑葉部はかためなので加熱してスープに入れるのが有効。
詳しくは→4.根深ねぎの選び方、調理方法、保存方法へ
1.生産方法と旬の時期 根深ねぎはこのようにしてできる
根深ねぎは寒さに強い植物であるため越冬を考慮した栽培が可能です。
旬は11月~2月頃で価格も安定する時期になります。
栽培型は春撒きや秋撒きの他にも様々な栽培型があり通年にわたって流通します。
根深ねぎの栽培は①種まき ②定植 ③生育期 の流れで収穫されます。
種まき
露地栽培の場合は一般的には苗を育ててから定植する方法を採用しています。
種まきからおよそ2ヶ月ほどで草丈が30~40㎝ほどの定植可能な大きさに成長します。
定植
定植は畝(うね)の中央に30㎝ほどの深さの穴を開けて根が隠れる程度の浅めに土をかぶせて行います。
倒伏(とうふく)防止や保湿のためにワラを敷く場合もあります。
生育期
根深ねぎの生育期は追肥と土寄せを行います。
土寄せは成長にあわせて5回ほど行います。
段階的に土をかぶせることで遮光されて長い軟白部を持つねぎができます。
収穫
収穫は軟白部が25㎝ほどに成長したのを目安に収穫されます。
花茎が発生すると繊維質になるためとう立ち前に収穫を行います。
とう立ちは、植物が成長の過程で花を咲かせるために花茎(とう)を伸ばし始める現象を指します。
とう立ちが起こると、植物は栄養素を花や種子の生産に使い始め、食用部分の質や味が低下することが多いため、農業では避けたい現象です。
2.根深ねぎの特徴 風味や食感について
根深ねぎはヒガンバナ科特有の香りを持ち、加熱することでトロリとした食感になります。
根深ねぎのぬめりの正体は多糖類の複合体によるものです。
似た食材としてポロネギがありますが、ポロネギのほうが粘性の多糖類を多く含むことからトロミが強く、よりクリーミーな味わいを持ちます。
根深ねぎの特徴的な香りは硫化アリルと呼ばれその一つのアリインは酵素反応によりアリシンに変化し、ビタミンB1 の吸収を助けることが知られています。
3.根深ねぎの栄養評価
根深ねぎは日本食品成分表で軟白部の生の成分値に加え、ゆでや、油炒めなどの100gあたりの成分値が記載されています【3】。
今回は根深ねぎの生の状態での栄養評価をしていきます。
根深ねぎは葉酸を含む食材です。
食品成分表では軟白部の成分値が記載されていますが、緑葉部にはβ-カロテンを多く含むため合わせて食べるとビタミンAの摂取源としても有効です。
根深ねぎの緑葉部は葉ねぎを参考にするといいでしょう。
スマホ版は横スクロールで表全体を確認できます。
豊富に含まれている栄養素は濃い色、一定量含まれている栄養素は薄い色で強調表示しています。
脂質 | 炭水化物 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
食材名 | エネルギー kcal | 水分 g | たんぱく質 g | 脂質 g | 飽和脂肪酸 g | n-3系不飽和脂肪酸 g | n-6系不飽和脂肪酸 g | コレステロール mg | 炭水化物 g | 食物繊維 g |
根深ねぎ 葉 軟白 生 | 35 | 89.6 | 1.4 | 0.1 | 0.02 | Tr | 0.01 | 2 | 8.3 | 2.5 |
葉ねぎ 葉 生 | 29 | 90.5 | 1.9 | 0.3 | 0.03 | 0.04 | 0.04 | (0) | 6.5 | 3.2 |
・Trは未測定であるが、文献等により微量に含まれていると推定されるもの
無機質 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
食材名 | ナトリウム mg | カリウム mg | カルシウム mg | マグネシウム mg | リン mg | 鉄 mg | 亜鉛 mg | 銅 mg | マンガン mg | ヨウ素 μg |
根深ねぎ 葉 軟白 生 | Tr | 200 | 36 | 13 | 27 | 0.3 | 0.3 | 0.04 | 0.12 | 0 |
葉ねぎ 葉 生 | 1 | 260 | 80 | 19 | 40 | 1.0 | 0.3 | 0.05 | 0.18 | 1 |
ビタミン | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
食材名 | ビタミン A μg | ビタミン D μg | ビタミン E mg | ビタミン K μg | ビタミン B1 mg | ビタミン B2 mg | ビタミン B6 mg | ビタミン B12 μg | 葉酸 μg | ビタミン C mg |
根深ねぎ 葉 軟白 生 | 7 | (0) | 0.2 | 8 | 0.05 | 0.04 | 0.12 | (0) | 72 | 14 |
葉ねぎ 葉 生 | 120 | (0) | 0.9 | 110 | 0.06 | 0.11 | 0.13 | (0) | 100 | 43 |
ビタミンE :α-トコフェロールの値を記載
4.根深ねぎの選び方、調理方法、保存方法
根深ねぎの選び方
新鮮な根深ねぎを選ぶときには緑葉部を確認しましょう。
品質が低下すると緑葉部からしなびていき、色は鮮やかな緑色から色あせた黄色に変化していきます。
また新鮮な根深ねぎは緑葉部と軟白部の境目がかたくしまっており全体的につやがあります。
以上の点を踏まえて品質の良い根深ねぎを選びましょう。
根深ねぎの調理方法
根深ねぎは特徴的な風味を活かした料理がおすすめです。
薬味として生の状態で使用する場合は軟白部を生の状態で使用するのがおすすめです。
緑葉部は葉ねぎのように軟らかくないので加熱してスープなどに使用するといいでしょう。
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根深ねぎの保存方法
根深ねぎは冷蔵保存が有効ですが、長さがあるため二等分にしてラップに包んで保存すると長持ちします。
切り口を保護すると長持ちし、適切に保存した場合の保存目安は1~2週間ほどになります。
長期保存したい場合は冷凍保存がおすすめです。
食べやすい状態に切ったあと保存袋に入れて冷凍保存します。
解凍すると水分がでて食感が良くないので生食には向いてませんが汁物やスープに使えば問題なく使用することができます。
食材の状態、保存環境によって保存期間は変化します。
使用する際はカビの有無や乾燥状態、冷凍の場合は冷凍焼けしていないかなど食材の状態を見たうえで使用するか各自で判断してください。
参考文献 下線ありのものはクリックで参考先に飛ぶことができます。
【1】植物和名ー学名インデックス YList:Allium fistulosum L.
【2】秋田県野菜栽培技術指針:農林水産省 PP234-252
【3】日本食品成分表 2023八訂
根深ねぎ 葉 軟白 生
葉ねぎ 葉 生
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5年おきに改訂しているため最新版であることを確認した上で購入したほうがいいです(2024時点は8訂が最新)。
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