鶏もも肉は、1羽の鶏から200~230gほどのもも肉が左右2枚分取れます。
鶏もも肉は、鶏むね肉よりもジューシーで食べやすいのが特徴です。
・鶏肉は豚肉や牛肉に比べて筋肉質で弾力のある肉感が特徴
鶏もも肉は鶏むね肉に比べて適度な脂肪をもつためジューシーで幅広い料理に使用することができる。
詳しくは→1.鶏もも肉の特徴 風味や食感についてへ
・鶏もも肉はたんぱく質が豊富に含まれている。
微量栄養素は親鶏か若鶏で値が異なるが亜鉛やビタミンK、B2、B6などが含まれている。
鶏もも肉の主要な食品成分については→2.鶏もも肉の栄養評価へ
・鶏もも肉は皮を下にして焼くと皮の食感を改善できる
詳しくは→3.鶏もも肉の選び方、調理方法、保存方法へ
1.鶏もも肉の特徴 風味や食感について
鶏肉は豚肉や牛肉に比べて筋肉質で弾力のある肉感が特徴です。
鶏もも肉はむね肉に比べて適度な脂肪をもつためジューシーで幅広い料理に使用することができます。
脂肪は多価不飽和脂肪酸の割合が多いため冷めても脂が固まりにくくお弁当などの冷めた料理にも向いています。
食材名 | 脂質の融点 |
---|---|
鶏脂 | 30~32℃ |
豚脂 | 33~46℃ |
牛脂 | 40~50℃ |
羊脂 | 44~55℃ |
融点が低いほど冷めた時の肉の脂の舌触りが悪くなりにくくなります。
鶏は月齢によって親鳥と若鶏に分けられます。
親鳥は卵を産み終えた月齢の長い鶏で運動量が多いため肉質は硬いですが、うま味が強いです。
対して若鶏は食肉用として早い段階で屠殺された鶏で肉質が軟らかくクセが少ないのが特徴です。
肉類の色素成分
鶏肉の肉は淡いピンク色をしており、牛肉や豚肉に比べて薄い色をしています。
食肉の色は、色素たんぱく質のミオグロビン、ヘモグロビン、チトクロムなどによるが、主にミオグロビンが関係しています【2】。
食肉のミオグロビン含有量は家畜の月齢、肉の部位、運動量によって変わりますが一般的に鶏肉は0.01~0.15%ほどといわれています。
食材名 | ミオグロビン含有量 |
---|---|
鶏肉 | 0.01~0.15% |
羊肉 | 0.25%前後 |
豚肉 | 0.05~0.3% |
牛肉 | 0.5%前後 |
馬肉 | 0.5~1.0% |
ミオグロビンの含有量が多いほど暗めの濃い赤色になります。
2.鶏もも肉の栄養評価
鶏もも肉は日本食品成分表で生の他にゆで、焼き、から揚げなど様々な調理方法での100gあたりの成分値が記載されています【3】。
今回は親鶏と若鶏の生の状態での成分値をピックアップしました。
スマホ版は横スクロールで表全体を確認できます。
豊富に含まれている栄養素は濃い色、一定量含まれている栄養素は薄い色で強調表示しています。
脂質 | 炭水化物 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
食材名 | エネルギー kcal | 水分 g | たんぱく質 g | 脂質 g | 飽和脂肪酸 g | n-3系不飽和脂肪酸 g | n-6系不飽和脂肪酸 g | コレステロール mg | 炭水化物 g | 食物繊維 g |
親どり もも 皮つき 生 | 234 | 62.9 | 17.3 | 19.1 | 5.67 | 0.12 | 2.66 | 90 | 0 | (0) |
親どり もも 皮なし 生 | 128 | 72.3 | 22.0 | 4.8 | 0.99 | 0.04 | 1.09 | 77 | 0 | (0) |
若どり もも 皮つき 生 | 190 | 68.5 | 16.6 | 14.2 | 4.37 | 0.09 | 1.76 | 89 | 0 | (0) |
若どり もも 皮なし 生 | 113 | 76.1 | 19.0 | 5.0 | 1.38 | 0.04 | 0.67 | 87 | 0 | (0) |
・Trは未測定であるが、文献等により微量に含まれていると推定されるもの
無機質 | ||||||||||
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食材名 | ナトリウム mg | カリウム mg | カルシウム mg | マグネシウム mg | リン mg | 鉄 mg | 亜鉛 mg | 銅 mg | マンガン mg | ヨウ素 μg |
親どり もも 皮つき 生 | 42 | 160 | 8 | 16 | 110 | 0.9 | 1.7 | 0.07 | 0.01 | – |
親どり もも 皮なし 生 | 50 | 220 | 9 | 21 | 150 | 2.1 | 2.3 | 0.09 | 0.01 | – |
若どり もも 皮つき 生 | 62 | 290 | 5 | 21 | 170 | 0.6 | 1.6 | 0.04 | 0.01 | Tr |
若どり もも 皮なし 生 | 69 | 320 | 5 | 24 | 190 | 0.6 | 1.8 | 0.04 | 0.01 | 0 |
ビタミン | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
食材名 | ビタミン A μg | ビタミン D μg | ビタミン E mg | ビタミン K μg | ビタミン B1 mg | ビタミン B2 mg | ビタミン B6 mg | ビタミン B12 μg | 葉酸 μg | ビタミン C mg |
親どり もも 皮つき 生 | 47 | 0.1 | 0.1 | 62 | 0.07 | 0.23 | 0.17 | 0.5 | 6 | 1 |
親どり もも 皮なし 生 | 17 | 0 | 0.1 | 38 | 0.10 | 0.31 | 0.22 | 0.6 | 7 | 1 |
若どり もも 皮つき 生 | 40 | 0.4 | 0.7 | 29 | 0.10 | 0.15 | 0.25 | 0.3 | 13 | 3 |
若どり もも 皮なし 生 | 16 | 0.2 | 0.6 | 23 | 0.12 | 0.19 | 0.31 | 0.3 | 10 | 3 |
ビタミンE :α-トコフェロールの値を記載
鶏もも肉はたんぱく質が豊富に含まれています。
皮を取り除くと脂質の割合が減り、たんぱく質の割合が増えてよりヘルシーになります。
そのため皮なしのもも肉は皮つきのものに比べて100gあたりのエネルギーが小さいです。
ミネラル類は親鶏と若鶏ともに亜鉛が含まれています。
亜鉛は核酸やたんぱく質の合成に関与する酵素やインスリンの構成成分として重要な栄養素です。
ビタミン類はビタミンK、ビタミンB2、B6が含まれています。
親鶏にはビタミンB2が一定量含まれており、若鶏はビタミンB6が含まれています。
3.鶏もも肉の選び方、調理方法、保存方法
鶏もも肉の選び方
鶏もも肉は鮮度がいいと淡いピンク色をしています。
鮮度が落ちてくると茶色になっていき、硫黄臭がしてくるので色やにおいを指標に選ぶといいでしょう。
おいしさの観点からは皮と肉がバランスよくついているものを選ぶことが重要です。
鶏もも肉の調理方法
下処理
鶏もも肉は部位によって厚みが異なるため均等になるように切ると加熱調理の際に火の通り具合が均一になり食感が改善されます。
1枚肉で焼く場合は焼き縮み防止のため筋を断つようにして隠し包丁を入れるといいでしょう。
加熱調理
焼き料理の場合は皮に部分を下にして焼きます。
フライパンにピッタリとくっつけて焼くことで焼きムラを防止することができます。
ゆで料理などで鶏皮がブヨブヨして気になる場合は事前に焼き色を付けることで食感を改善することができます。
香ばしい香りも付加されますのでより食欲を掻き立てる料理になります。
関連レシピ
鶏もも肉の保存方法
鶏もも肉は冷蔵庫保存が基本です。
鶏肉は豚肉や牛肉よりも鮮度が落ちると明確に味が落ちるので購入後2日以内に食べるのが望ましいです。
賞味期限内に消費できない場合は鮮度が落ちる前にうちに冷凍保存するのがおすすめです。
解凍後はドリップがでて品質が落ちますが、味の変化は少なく食べることができます。
適切に冷凍保存した場合の保存目安は1ヶ月ほどになります*1。
食材の状態、保存環境によって保存期間は変化します。
使用する際はカビの有無や乾燥状態、冷凍の場合は冷凍焼けしていないかなど食材の状態を見たうえで使用するか各自で判断してください。
【1】菅隆幸ほか:食品化学・材料学、朝倉書店、1982、P115
【3】日本食品成分表 2023八訂
親どり もも 皮つき 生:にわとり【親・主品目】 もも、皮つき、生の数値を記載
親どり もも 皮なし 生:にわとり【親・主品目】 もも、皮なし、生の数値を記載
若どり もも 皮なし 生:にわとり【親・主品目】 もも、皮なし、生の数値を記載
若どり もも 皮なし 生:にわとり【親・主品目】 もも、皮なし、生の数値を記載
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