ささみは鶏の胸骨の一部である竜骨突起に沿って左右に1本ずつ存在する肉の部位になります。
脂質の少ない鶏むね肉よりもさらに脂質が少なくたんぱく質を多く含みます。
・鶏肉は豚肉や牛肉に比べて筋肉質で弾力のある肉感が特徴
ささみはむね肉よりもさらに脂質が少なくさっぱりとした味わい。
詳しくは→1.ささみの特徴 風味や食感についてへ
・鶏もも肉はたんぱく質が豊富に含まれており、脂質や飽和脂肪酸が少ない
微量栄養素はビタミンB6など豊富に含まれている。
鶏もも肉の主要な食品成分については→2.ささみの栄養評価へ
・ささみはしっとりとした食感にするには加熱しすぎないのがポイント!
ささみを理想的な食感にするには低温調理が有効。
詳しくは→3.ささみの選び方、調理方法、保存方法へ
1.ささみの特徴 風味や食感について
鶏肉は豚肉や牛肉に比べて筋肉質で弾力のある肉感が特徴です。
特に鶏の胸部の筋肉は飛行のために発達しており全体として引き締まった食感になります。
ささみは脂質の少ない鶏むね肉よりもさらに脂質が少なくたんぱく質を多く含みます。
風味をもたらす香気成分の前駆体である脂肪酸があまり含まれていないので風味が少ないあっさりとした味になります。
食材名 | ミオグロビン含有量 |
---|---|
鶏肉 | 0.01~0.15% |
羊肉 | 0.25%前後 |
豚肉 | 0.05~0.3% |
牛肉 | 0.5%前後 |
馬肉 | 0.5~1.0% |
ミオグロビンの含有量が多いほど暗めの濃い赤色になります。
2.ささみの栄養評価
ささみは日本食品成分表で若鶏と親鶏があり、若鶏の場合は生の他にゆで、焼き、ソテーなど様々な調理方法での100gあたりの成分値が記載されています【3】。
今回は親鶏と若鶏の生の状態での成分値をピックアップしました。
スマホ版は横スクロールで表全体を確認できます。
豊富に含まれている栄養素は濃い色、一定量含まれている栄養素は薄い色で強調表示しています。
脂質 | 炭水化物 | |||||||||
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食材名 | エネルギー kcal | 水分 g | たんぱく質 g | 脂質 g | 飽和脂肪酸 g | n-3系不飽和脂肪酸 g | n-6系不飽和脂肪酸 g | コレステロール mg | 炭水化物 g | 食物繊維 g |
親どり ささみ 生 | 107 | 73.2 | 24.6 | 1.1 | 0.23 | 0.01 | 0.21 | 52 | 0 | (0) |
若どり ささみ 生 | 98 | 75.0 | 23.9 | 0.8 | 0.17 | 0.02 | 0.11 | 66 | 0.1 | (0) |
・Trは未測定であるが、文献等により微量に含まれていると推定されるもの
無機質 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
食材名 | ナトリウム mg | カリウム mg | カルシウム mg | マグネシウム mg | リン mg | 鉄 mg | 亜鉛 mg | 銅 mg | マンガン mg | ヨウ素 μg |
親どり ささみ 生 | 40 | 280 | 8 | 21 | 200 | 0.6 | 2.4 | 0.09 | – | – |
若どり ささみ 生 | 40 | 410 | 4 | 32 | 240 | 0.3 | 0.6 | 0.03 | 0.01 | 0 |
ビタミン | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
食材名 | ビタミン A μg | ビタミン D μg | ビタミン E mg | ビタミン K μg | ビタミン B1 mg | ビタミン B2 mg | ビタミン B6 mg | ビタミン B12 μg | 葉酸 μg | ビタミン C mg |
親どり ささみ 生 | 9 | 0 | 0.1 | 18 | 0.09 | 0.12 | 0.66 | 0.1 | 7 | 1 |
若どり ささみ 生 | 5 | 0 | 0.7 | 12 | 0.09 | 0.11 | 0.62 | 0.2 | 15 | 3 |
ビタミンE :α-トコフェロールの値を記載
ささみはたんぱく質とビタミンB6を豊富に含みます。
特にたんぱく質は肉類のなかでも多く含みます。
肉類は脂質や飽和脂肪酸を含む場合が多いですが、ささみの脂質や飽和脂肪酸の含有量が少なく健康的に効率よくタンパク質を摂取するには有効な食材といえます。
3.ささみの選び方、調理方法、保存方法
ささみの選び方
ささみは鮮度がいいと淡いピンク色をしています。
鮮度が落ちてくると茶色になっていき、硫黄臭がしてくるので色やにおいを指標に選ぶといいでしょう。
ささみの調理方法
下処理
ささみは筋肉質で焼くと焼き縮みをしやすいため筋を断つようにして隠し包丁を入れてから焼くのがおすすめです。
焼き料理の場合は食感が硬くなりやすいのでやわらかい食感のまま中心まで火を通すには薄切りにするのがおすすめです。
加熱調理
ささみは高温で加熱すると食感が硬くなりパサつきやすいため、低温調理で軟らかく加熱するのが有効です。
低温調理器具を63℃にセットし1時間ほど加熱することで理想の食感にすることができます。
目安は約40分ほどで中心温度が63℃になりますが、殺菌のためさらに30分この温度帯を維持します。
肉の厚みによって中心温度に達する時間は異なるため中心温度が63℃に達する時間+30分の加熱と覚えておきましょう。
低温調理は食材を理想的な温度で加熱することができますが、衛生管理が難しい調理法です。
今回提示した調理法は厚生労働省の「大量調理衛生管理マニュアル」を参考に肉類の加熱条件の中心温度75℃、1分以上と同等の加熱条件を想定していますが、使用する食材は新鮮なものを選び、調理後はすぐに食べるようにしましょう【4】。
また、免疫力が低下している方は摂取を控えましょう。
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編集中
鶏もも肉の保存方法
ささみは冷蔵庫保存が基本です。
鶏肉は豚肉や牛肉よりも鮮度が落ちやすく鮮度が落ちると明確に味が落ちるので購入後2日以内に食べるのが望ましいです。
賞味期限内に消費できない場合は鮮度が落ちる前にうちに冷凍保存するのがおすすめです。
解凍後はドリップがでて品質が落ちますが、味の変化は少なく食べることができます。
適切に冷凍保存した場合の保存目安は1ヶ月ほどになります*1。
食材の状態、保存環境によって保存期間は変化します。
使用する際はカビの有無や乾燥状態、冷凍の場合は冷凍焼けしていないかなど食材の状態を見たうえで使用するか各自で判断してください。
参考文献 下線ありのものはクリックで参考先に飛ぶことができます。
【1】菅隆幸ほか:食品化学・材料学、朝倉書店、1982、P115
【2】加藤保子、中山勉編:食品学Ⅱ 食品の分類と利用法改訂第2版、株式会社南江堂、2016、P111
【8】日本食品成分表 2023八訂
親どり ささみ 生:にわとり 【親・主品目】ささみ 生 の数値を記載
若どり ささみ 生:にわとり 【若どり・副品目】ささみ 生 の数値を記載
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