鶏がら

鶏がらは鶏を解体し肉・内臓部分を取り除いた後に残る骨の部分を指します。
うま味やコラーゲンを豊富に含み、主にだしやスープの原料として使用されます。

同じような使われ方の食材として牛骨がありますが、鶏がらは牛骨よりも手軽にコラーゲンを抽出することができ、あっさりとしたシンプルな風味のだしになります。

 

この食材のポイント
・鶏がらは首から胴にかけての骨が主に使われる
骨の周りについている肉や骨髄がうま味とコラーゲンのもととなる
詳しくは→1.鶏がらの部位はどの部分か?
・鶏がらは運動量が多いものほどうま味が強い傾向にある
詳しくは→2.鶏がらだしの特徴 風味や食感、、月齢や品種ごとの違いについて
・鶏がらだしの成分値はほとんどが水分だがナトリウムがわずかに含まれている
詳しくは→3.鶏がらだしの栄養評価
・澄んだにおいの少ないスープに仕上げるためには下処理が重要
だしの色の調節や効率的なコラーゲンの抽出については→4.鶏がらの選び方、調理方法、保存方法

1.鶏がらの部位はどの部分か?

鶏がらは鶏を解体し肉・内臓部分を取り除いた後に残る骨の部分を指します。
具体的には、首骨、胸骨や背骨、肩甲骨、腰骨などが含まれます。
一般的には首部分と胴体が繋がった状態で販売しており首骨がある場合は「首がら・胴がら」という表記で販売しています。
鶏がらにはこれらの骨に付着した筋肉や軟骨、骨髄なども含まれており、これらの部位から風味豊かなだしを取ることができます。

2.鶏がらだしの特徴 風味や食感、月齢や品種ごとの違いについて

ここでは鶏がらだしの風味や食感について紹介します。
鶏がらから取っただしはうま味やコラーゲンを豊富に含みます。
コラーゲンは長時間じっくり煮込むことで抽出されます。
コラーゲンがスープの中に高濃度に含まれると、とろみのあるスープとなり特徴的な食感になります。

一般的に動物の肉は運動量が多いほど硬くなりますがうま味は強くなります。
そのためスープのだしに使われる鶏は運動量が少ない若鳥よりも卵を産み終えたひねどり・親鳥が向いているといわれています。

飼育方法によっては放し飼いにし運動量を増やし肉のしまったうま味の強い鶏を育てる場合があります。
名古屋コーチンはその一例で名古屋コーチンの鶏ガラから取れるだしはうま味が強くおいしさが際立ちます。

3.鶏がらだしの栄養評価

鶏がらだしの成分は日本食品成分表に記載されています。
100gあたりの成分値は以下の通りです【1】。

スマホ版は横スクロールで表全体を確認できます。

      脂質 炭水化物
エネルギー    
kcal
水分       
g
たんぱく質    
g
脂質       
g
飽和脂肪酸    
g
n-3系不飽和脂肪酸
g
n-6系不飽和脂肪酸
g
コレステロール  
mg
炭水化物     
g
食物繊維     
g
7 98.6 0.9 0.4 0.11 0.01 0.06 Tr (0)
・(0)は未測定であるが、文献等により含まれていないと推定されるもの
・Trは未測定であるが、文献等により微量に含まれていると推定されるもの

無機質
ナトリウム    
mg
カリウム     
mg
カルシウム    
mg
マグネシウム   
mg
リン       
mg
鉄        
mg
亜鉛       
mg
銅        
mg
マンガン     
mg
ヨウ素      
μg
40 60 1 1 15 0.1 Tr 0.01 0 Tr

ビタミン
ビタミン 
A
 
μg
ビタミン 
D
 
μg
ビタミン 
E
 
mg
ビタミン 
K
 
μg
ビタミン 
B1
 
mg
ビタミン 
B2
 
mg
ビタミン 
B6
 
mg
ビタミン 
B12
 
μg
葉酸   

 
μg
ビタミン 
C
 
mg
1 0 Tr 2 0.01 0.04 0.02 0.1 2 0
・ビタミンA :レチノール活性当量の値を記載
・ビタミンE :α-トコフェロールの値を記載

鶏がらからとっただしを成分分析した値であるため食塩などで味付けされていない値になります。
当たり前ですが殆どが水分でエネルギーも低い傾向にあります。
ナトリウムは40㎎で食塩相当量に換算すると0.1gとなります。
そのため鶏がらダシを濃縮したスープは食塩を添加しなくてもほのかな塩味を感じることができます。

4.鶏がらの選び方、調理方法、保存方法

鶏がらの選び方

スープの原料として適した鶏がらは余分な脂や血の塊が少ない綺麗に処理されたものを選ぶといいでしょう。
雑に処理されている鶏がらは余分な脂や内臓の一部がついており鮮度が落ちやすく下処理が大変になります。

見た目で判断する場合は赤身が多いものがきれいに処理されている傾向にあります。
また、販売時は確認が難しいかもしれませんが、肋骨の裏部分についている内臓は肺で下処理で取り除いてしまうのであらかじめ取り除からたものはていねいに処理されているといえます。

鶏がらがどこのお店にも売っていないそんなお悩みにはこちらの記事をご覧下さい↓

鶏がらの調理方法

鶏がらの重さは1羽あたり400~500gほどで1羽でおよそ2Lの鶏がらだしを抽出することができます。
鶏がらだしはにおいにクセが無くできる限り澄んだものが材料として使いやすいです。
においは香味野菜やスパイスを加えることである程度改善されますがクセが無い良質なだしを取るためには下処理が重要になっていきます。
だしの色やうま味の強さそしてコラーゲンの量は加熱の温度や時間により調節することができます。

下処理

下処理はだしに嫌な臭いが付かないようにそして澄んだ透明に仕上げるために行われます。
最初に余分な脂をある程度取り除きます。
あばら部分や腰骨あたりに内蔵がついている場合は流水で洗いながら取り除いていきます。

ていねいに仕上げたい場合はこの後、熱湯をかけるまたは沸騰したお湯で1分ほど下ゆですることで臭みを取り除くことができます。
ゆで始めが赤くなりそれが原因で濁る場合もこの方法を使うことで解決できます。

加熱方法

だしを取るときは水の状態から鶏がらを入れて煮込み始めます。
沸騰前は強火にし、沸騰直前で弱火にしていきます。
穏やかな沸騰状態で煮込むのがポイントで激しい沸騰状態はだしの濁りの原因となります。

鶏がらに火が通り始めるとアクがでてくるのでお玉を使って取り除いていきます。
穴あきのお玉があればだしを捨てずにあくを取り除くことができます。
あらかじめお湯を入れたボウルを準備し、アクが付着したお玉をお湯に通すときれいにアクを取ることができます。
沸騰後はネギやセロリなど料理に合わせた香味野菜を加えて風味を良くしていきます。

煮込み時間は1~3時間ほどであっさりとした白色のだしを取ることができますが、コラーゲンを十分に抽出するためには最低でも6時間の煮込みが必要です。

短時間でうま味の強いだしを取りたい場合は水に対する鶏がらを増やしましょう。
だしに色を付けたい場合はあらかじめ食材をオーブンなどで焼くか煮込み長時間を長くする必要があります。
濃い茶色に仕上げたい場合は圧力鍋を使う方法がおすすめです。
高温で加熱することで3時間ほどで濃い色に仕上げることができコラーゲンも十分に抽出することができます。
ただし激しく沸騰させるためだしが濁りやすく透明度が気になる繊細な料理に使用する場合は工夫が必要です。

圧力鍋を使った場合の写真です。

コンソメスープのように澄ましの工程を挟む場合は圧力鍋を使う場合も綺麗な透明感のある仕上がりにできます。

関連レシピ

鶏がらの保存方法

鶏がらは鮮度が落ちやすく冷蔵の場合2日以内に消費するのが好ましいです。
しばらく使わない場合は冷凍保存がおすすめで保存目安は90日ほどになります*1。

*1 紹介する保存方法の保存期間はあくまでも目安です。
食材の状態、保存環境によって保存期間は変化します。
使用する際はカビの有無や乾燥状態、冷凍の場合は冷凍焼けしていないかなど食材の状態を見たうえで使用するか各自で判断してください。

参考文献
【1】日本食品成分表 2023八訂 鶏がらだしの数値を引用食品成分表はエクセルの栄養計算ソフトが付いている医歯薬出版がおすすめです!
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高木駿介

 

管理栄養士
趣味:料理、映画鑑賞(SFやヒーローもの)
食品会社の社会人1年目で休日ではサイト運営と食品テクノロジーについて調べています。

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