ブロッコリーはアブラナ科に分類される地中海原産の多年生植物です【1】。
同じアブラナ科の食材としてカリフラワーやキャベツ、コールラビなどがあります。
ブロッコリーの食用部は、小さな蕾が集まったもので、一般的に「花序(かじょ)」と呼ばれます。
そして花序がまとまり、ブロッコリーとして形作られた塊を「花蕾(からい)」と呼びます。
スーパーでは茎に花蕾がついた状態で販売しており、茎が軟らかい状態で収穫されるため茎も食べることができます。
・ブロッコリーは6~7月頃と9~10月頃に収穫される
低温刺激で花芽が分化されるため秋頃が旬となり供給も増加することから価格も低下する。
詳しくは→1.生産方法と旬の時期 ブロッコリーはこのようにしてできるへ
・ブロッコリーはほのかに甘くクセの少ない食べやすい野菜
アブラナ科特有の硫黄臭が特徴的な風味。
詳しくは→2.ブロッコリーの特徴 風味や食感についてへ
・ブロッコリーはビタミンE、葉酸、ビタミンCなどの様々な栄養素が豊富に含まれている
ゆで料理の場合は水溶性の栄養素が顕著に流出するため焼きや電子レンジでの蒸し料理がおすすめ!
詳しくは→3.ブロッコリーの栄養評価へ
・ブロッコリーは濃い緑色で茎にハリがあるものがおすすめ!
鮮度が低下すると花序が黄色に変色していき味は甘味が低下する。
詳しくは→4.ブロッコリーの選び方、調理方法、保存方法
1.生産方法と旬の時期 ブロッコリーはこのようにしてできる
ブロッコリーは春撒き(3月頃)と夏撒き(6~7月頃)があり、春撒きの場合6~7月頃に夏撒きの場合は9~10月頃に収穫されます。
ブロッコリーは低温刺激によって花芽が分化するため秋頃が旬とされています。
価格は供給量が増加する10~11月頃に低下する傾向にあります。
ブロッコリーは①種まき・仮植え ②定植 ③生育期 の流れで収穫されます。
種まき・仮植え
ブロッコリーは種を高い密度で撒き発芽させます。
本葉が2枚ほどに育った段階で状態の良いものを選び、育苗ポットに移して苗を作ります。
定植
定植は発芽後1ヶ月ほど経過し本葉が5~6枚ほどに育ったときに行われます。
定植前日には液体肥料をたっぷりと加え、畑の土に早くなじむようにします。
生育期
生育期間は追肥や除草を目的として周辺を耕します。
周辺を耕すことで根に空気が入りやすくなり根腐れも防ぐことができます。
収獲
収獲は定植後1ヶ月半~2ヶ月程で行われます。
小さな蕾がぎっしりと詰まった状態で収穫されます。
2.ブロッコリーの特徴 風味や食感について
ブロッコリーは、だいこんやキャベツなどのアブラナ科の植物に由来する硫黄系の香りを持っています。
ほのかな甘みがありクセが少ないことから比較的食べやすい野菜になります。
食感は茎の部分は少し硬いですが、花序はでこぼこした形状で独特な舌触りですが軟らかくて食べやすくなっています。
茎が発達するとリグニンという細胞壁の成分が多くなり、木のように固く食感が悪くなります。
3.ブロッコリーの栄養評価
ブロッコリーは日本食品成分表で生の成分値に加え、ゆでや、電子レンジ調理、油いためなどの100gあたりの成分値が記載されています【5】。
今回はブロッコリーの生とゆでの状態での栄養評価をしていきます。
スマホ版は横スクロールで表全体を確認できます。
豊富に含まれている栄養素は濃い色、一定量含まれている栄養素は薄い色で強調表示しています。
脂質 | 炭水化物 | |||||||||
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食材名 | エネルギー kcal | 水分 g | たんぱく質 g | 脂質 g | 飽和脂肪酸 g | n-3系不飽和脂肪酸 g | n-6系不飽和脂肪酸 g | コレステロール mg | 炭水化物 g | 食物繊維 g |
ブロッコリー 花序 生 | 37 | 86.2 | 5.4 | 0.6 | 0.07 | 0.08 | 0.03 | 0 | 6.6 | 5.1 |
ブロッコリー 花序 ゆで | 30 | 89.9 | 3.9 | 0.4 | 0.05 | 0.06 | 0.03 | 0 | 5.2 | 4.3 |
・Trは未測定であるが、文献等により微量に含まれていると推定されるもの
無機質 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
食材名 | ナトリウム mg | カリウム mg | カルシウム mg | マグネシウム mg | リン mg | 鉄 mg | 亜鉛 mg | 銅 mg | マンガン mg | ヨウ素 μg |
ブロッコリー 花序 生 | 7 | 460 | 50 | 29 | 110 | 1.3 | 0.8 | 0.10 | 0.28 | 0 |
ブロッコリー 花序 ゆで | 5 | 210 | 41 | 17 | 74 | 0.9 | 0.4 | 0.06 | 0.20 | – |
ビタミン | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
食材名 | ビタミン A μg | ビタミン D μg | ビタミン E mg | ビタミン K μg | ビタミン B1 mg | ビタミン B2 mg | ビタミン B6 mg | ビタミン B12 μg | 葉酸 μg | ビタミン C mg |
ブロッコリー 花序 生 | 75 | 0 | 3.0 | 210 | 0.17 | 0.23 | 0.30 | 0 | 220 | 140 |
ブロッコリー 花序 ゆで | 69 | 0 | 2.7 | 190 | 0.06 | 0.09 | 0.14 | 0 | 120 | 55 |
ビタミンE :α-トコフェロールの値を記載
ブロッコリーはビタミンE、K、B2、B6、C、葉酸など様々なビタミン類を食材です。
食物繊維やカリウムも含むことから野菜類の中でもかなり優秀な食材といえます。
ゆで調理を行うと水溶性ビタミンをはじめとする栄養素が顕著に減少してしまうので電子レンジでの調理や油炒めでの調理が有効です。
水を多く使う料理でなければ栄養素の変化は少ないです。
ただしスープなど汁ごと食べてしまう料理の場合は栄養素の損失もなく摂取することができます。
4.ブロッコリーの選び方、調理方法、保存方法
ブロッコリーの選び方
ブロッコリーは鮮度が落ちると花序のような細かくて小さな組織から順番に黄色に変色していくので濃い緑色の食材を選ぶのが有効です。
茎が筋張っているものやしなびてはりが無いものは水分が蒸発して食感が良くないので避けた方がいいでしょう。
ブロッコリーの調理方法
下処理
ブロッコリーはゆでる場合は1%の塩水でゆでると色鮮やかな色を保ったまま調理することができます。
ゆでる前に茎と花蕾に分けます。
茎は薄切りに花蕾は一口サイズの小房に切り分けることで熱が通りやすくなります。
栄養素を余すことなく調理する場合は電子レンジで蒸す方法が有効です。
ゆでる方法と同様にブロッコリーを切り分け、電子レンジ対応のボウルにいれてラップをし500Wで3分で調理することができます。
ポイントはブロッコリーを洗ったあとの水気をある程度残した状態のまま電子レンジで加熱することで火が通りやすくなります。
また塩を一つまみまぶしておくことで下味が付くと共に切り口から水分がでて熱が通りやすくなります。
関連レシピ
編集中
ブロッコリーの保存方法
冷蔵で保存袋にいれて保存する方法が有効です。
野菜は収穫後も生きており呼吸をするため冷蔵状態で袋にいれて空気の組成を制御することで野菜の代謝をゆるやかに保存性を高めることができます。
ブロッコリーは時間が経過すると体内の糖分を消費して茎の繊維化が進むためはやめに食べたほうが味と食感が良い状態で食べることができます。
適切に保存した場合の保存期間の目安は1週間ほどになります*1。
長期保存したい場合は冷凍保存がおすすめです。
冷凍状態のまま料理に使用したいため食べやすいサイズに切りわけてから保存袋に入れて冷凍保存します。
生の状態のものよりも水分がでてきやすく食感が悪くなりやすいので焼きや揚げなどの乾式の加熱料理には向いておらず、スープなど汁物に使用すると品質の低下の影響も少なく食べることができます。
食材の状態、保存環境によって保存期間は変化します。
使用する際はカビの有無や乾燥状態、冷凍の場合は冷凍焼けしていないかなど食材の状態を見たうえで使用するか各自で判断してください。
参考文献 下線ありのものはクリックで参考先に飛ぶことができます。
【1】植物和名ー学名インデックス YList:Brassica oleracea L. var. italica Plenck
【2】秋田県野菜栽培技術指針:農林水産省 PP184-186
【3】日本食品成分表 2023八訂
ブロッコリー 花序 生
ブロッコリー 花序 ゆで
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5年おきに改訂しているため最新版であることを確認した上で購入したほうがいいです(2024時点は8訂が最新)。
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