骨や牛骨は文字通り牛の骨であり肋骨や大腿骨が食材として利用されています。
可食部は骨髄部分で塩や香辛料をまぶして焼いて食べたり、スープのだしとして調理されます。
牛骨のコラーゲンは結合が強いため良質なだしをとるためには長時間煮込む必要があります。
・牛骨の可食部は骨髄でうま味成分やコラーゲンを豊富に含む
詳しくは→1.牛骨の特徴 風味や食感へ
・牛骨の内、脊柱や脊髄はBSE感染の危険性から食用とはならず処分される。
食用となる部位は肋骨や大腿骨でBSE感染のリスクは少ない。
詳しくは→2.牛骨の栄養評価 牛骨の安全性についてへ
・嫌なにおいの少ないスープに仕上げるためには下処理が重要
だしの色の調節や効率的なコラーゲンの抽出については→3.牛骨の選び方、調理方法、保存方法へ
1.牛骨の特徴 風味や食感
牛骨の可食部である骨髄部分は血液を作る器官でありコラーゲンやうま味成分・脂質を多く含みます。
そのため焼いて食べるとジューシーでトロトロとした食感になります。
牛骨からだしを取る場合、骨髄がだし汁にすべて溶け込むまで煮込むことでコクのあるだしをとることができます。
鶏や豚から取るだしよりも濃厚な風味があり料理に深い味わいを与えます。
また、骨の周りについた肉もうま味を多く含むことも牛骨でおいしいだしを取ることのできる理由のひとつです。
2.牛骨の栄養評価 牛骨の安全性について
牛骨の栄養評価をするにあたり食品成分表やそのほかの食品成分データベースを調べてみましたが信頼できる具体的な成分値のデータは見つかりませんでした。
冒頭で紹介した食材としての牛骨は肋骨や大腿骨が利用されている理由について深堀りしていきます。
日本では牛の脊柱や脊髄は牛海綿状脳症(BSE)の対策により除去され流通しないように食品衛生法によって規制されています。
牛海綿状脳症(BSE)は異常プリオンと呼ばれる異常なタンパク質が脳に蓄積することで引き起こされる疾患で脳の組織が海綿状に変化することからその名がつけられています。
この疾患は感染した牛の脳や脊髄を摂取することからヒトへ感染することが知られているため、異常プリオンが蓄積されやすい脳や脊柱、脊髄、扁桃腺などは除去し焼却処分するようになりました。
そのため日本で流通している牛骨はBSE感染リスクの少ない肋骨や大腿骨といった脊柱以外の骨が食品として利用されています。
ちなみに日本ではBSEの対策と検査が徹底しており、平成15年(2003年)以降に出生した牛からは、BSEは確認されていません【1】(2024年3月時点)。
3.牛骨の選び方、調理方法、保存方法
牛骨の選び方
牛骨は大腿部が可食部が多くおすすめの部位です。
牛の骨はとても硬いためあらかじめ食べやすい形で切り分けたものを購入した方がいいでしょう。
牛骨は一般的にスーパーなどでは販売しておらず、精肉店やネット通販で購入することができます。
精肉店で購入する場合は食べやすい形に切ってもらうようお願いするとのちの調理が楽になります。
安全性を考慮する場合は、国産の牛骨を購入することをおすすめします。
輸入牛も日本で検閲が行われており一定の安全性は保障されていますが、国外の肉牛に関する法律や規制を詳しく把握することは難しいため、国産牛の牛骨の方が安心です。
牛骨の調理方法
牛骨のスープのだしとして使用する調理方法、焼いて骨髄を食べる調理方法について紹介します。
下処理
下処理はだしに嫌な臭いが付かないように仕上げるために行われます。
ていねいに仕上げたい場合は熱湯をかけるまたは沸騰したお湯で1分ほど下ゆですることで臭みを取り除くことができます。
ゆで始めが赤くなりそれが原因で濁る場合もこの方法を使うことで解決できます。
香ばしい茶色のだしを取りたい場合は事前にオーブンでしっかりと焼いておきます。
焼いて食べる場合は塩や香辛料を骨髄側にふりかけます。
黒こしょうやガーリックパウダーやパプリカパウダーが肉に合うスパイスです。
加熱方法
だしを取るときは水の状態から牛骨を入れて煮込み始めます。
沸騰前は強火にし、沸騰直前で弱火にしていきます。
穏やかな沸騰状態で煮込むのがポイントで激しい沸騰状態はだしの濁りの原因となります。
牛骨に火が通り始めるとアクがでてくるのでお玉を使って取り除いていきます。
穴あきのお玉があればだしを捨てずにあくを取り除くことができます。
あらかじめお湯を入れたボウルを準備し、アクが付着したお玉をお湯に通すときれいにアクを取ることができます。
沸騰後はネギやセロリなど料理に合わせた香味野菜を加えて風味を良くしていきます。
牛骨はコラーゲンの結合が強く、十分に抽出するためには最低でも12時間の煮込みが必要です。
骨髄の状態でおよそのコラーゲンの抽出具合がわかります。
骨の中にぎっしりと詰まっていた骨髄がスカスカになるとコラーゲンを十分に抽出できた合図になります。
コラーゲンを多く含むだしは冷やすとゲル状になります。
短時間でうま味の強いだしを取りたい場合は圧力鍋を使う方法がおすすめです。
高温で加熱することで6時間ほどで濃い色に仕上げることができコラーゲンも十分に抽出することができます。
ただし激しく沸騰させるためだしが濁りやすく透明度が気になる繊細な料理に使用する場合は工夫が必要です。
コンソメスープのように澄ましの工程を挟む場合は圧力鍋を使う場合も綺麗な透明感のある仕上がりにできます。
牛骨の保存方法
牛骨は鮮度が落ちやすく食肉製品と同様の扱いが必要です。
冷蔵の場合2日以内に消費するのが好ましいです。
しばらく使わない場合は冷凍保存がおすすめで保存目安は90日ほどになります*1。
食材の状態、保存環境によって保存期間は変化します。
使用する際はカビの有無や乾燥状態、冷凍の場合は冷凍焼けしていないかなど食材の状態を見たうえで使用するか各自で判断してください。
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