たけのこはイネ科に分類される竹の幼茎にあたります。
竹は主に東アジアに分布する植物で日本ではモウソウチクのたけのこが市場に出回ります。
・たけのこは4月頃に収穫される明確な旬が存在する食材
商業的に栽培するには5年周期で親竹を育てられる。
詳しくは→1.生産方法と旬の時期 たけのこはこのようにしてできるへ
・たけのこはアミノ酸を多く含みうま味が強い食材
たけのこのえぐ味成分はホモゲンチジン酸やシュウ酸などがあり、成長が進むごとに増える。
詳しくは→2.たけのこの特徴 風味や食感についてへ
・たけのこは食物繊維やカリウム、葉酸を含む
その他の食品成分については→3.たけのこの栄養評価へ
・たけのこは生の状態ではシアノゲンと呼ばれる毒性を持つ成分を含むためゆでる必要がある
ゆでる時には米のとぎ汁とトウガラシを加えるとアクを取り除きやすくなる。
詳しくは→4.たけのこの選び方、調理方法、保存方法へ
1.生産方法と旬の時期 たけのこはこのようにしてできる
たけのこは12~1月頃に初堀りされ、3~4月頃に本格的に収穫されます。
旬の時期は4月で価格も低価格で購入することができます。
青果として出回るのは3~4月頃でそれ以外は水煮の個包装の状態で販売していることが多いです。
たけのこは親竹を適切に管理し大きさや本数を調節することで栽培されます。
たけのこの栽培は竹が成長し始める5月頃から作業が始まります。
うら止め
うら止めとは親竹として育てる若い竹の先端を折る方法でこの作業を行うことで大きすぎないちょうどよいサイズのたけのこができ、収量を増やすこともできます。
親竹は2年目のものからたけのこを収穫することができます。
8月頃になると次の年でたけのことなる芽子が地下茎に形成され始めます。
商業的に栽培する場合はこの時期に追肥を行います。
伐竹
竹は5~6年目でたけのこが形成されなくなるため古い竹は10~12月ごろに伐採します。
たけのこを栽培するための竹林は色付きの帯やペンキなどでそれぞれの竹の年齢を記録して管理されます。
1~2月頃はたけのこが見つけやすいように伐採された竹を取り除いたり雑草を刈り取ります。
追肥を行い、たけのこの成長をさらに促します。
収穫
3~4月頃になると地面が割れ始めてそこからたけのこを収穫します。
地面からはっきりと見えたたけのこは成長しすぎでえぐみが強くなってしまい食用には向いていません。
次の年も収穫できるように元気なたけのこは残しておき親竹に成長させます。
通常は伐採した竹と同数のたけのこを親竹として育てます。
2.たけのこの特徴 風味や食感について
たけのこはシャキシャキとした食感でチロシン、グルタミン酸、アスパラギン酸などのアミノ酸を多く含みうま味が強いのが特徴です。
たけのこの呈味成分
たけのこのうま味は前述したアミノ酸が関係していますが、他にもホモゲンチジン酸やシュウ酸などえぐ味を含む呈味成分を含みます【2】。
ホモゲンチジン酸はチロシンが酸化することで生成されたもので、たけのこの鮮度が悪いものや過度に成長したものはえぐ味が強くなります。
たけのこの香気成分
たけのこの香気成分は肉汁やパンのかおりであるメチオナールやジメチルスルフィドなどの硫黄化合物を含みます。
他にもこちらは不快臭ですが薬品のような香りのクレゾールも含まれます【3】。
こちらは適切に調理することによって取り除くことができます。→たけのこの調理方法
たけのこの食感
たけのこのシャキシャキとした食感は加熱しても失われることはありません。
これはたけのこの細胞壁の成分にフェルラ酸というフェノール化合物が結合し熱によって溶けださないように作用するためです。
3.たけのこの栄養評価
たけのこは日本食品成分表で生の成分値に加え、ゆでや、水煮缶詰などの100gあたりの成分値が記載されています【4】。
今回はたけのこの生と水煮缶詰の状態での栄養評価をしていきます。
たけのこは食物繊維やカリウム、葉酸を含む食材です。
スマホ版は横スクロールで表全体を確認できます。
豊富に含まれている栄養素は濃い色、一定量含まれている栄養素は薄い色で強調表示しています。
脂質 | 炭水化物 | |||||||||
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食材名 | エネルギー kcal | 水分 g | たんぱく質 g | 脂質 g | 飽和脂肪酸 g | n-3系不飽和脂肪酸 g | n-6系不飽和脂肪酸 g | コレステロール mg | 炭水化物 g | 食物繊維 g |
たけのこ 若茎 生 | 27 | 90.8 | 3.6 | 0.2 | 0.05 | 0.01 | 0.08 | 0 | 4.3 | 2.8 |
たけのこ 水煮缶詰 | 22 | 92.8 | 2.7 | 0.2 | 0.05 | 0.01 | 0.08 | 0 | 4.0 | 2.3 |
・Trは未測定であるが、文献等により微量に含まれていると推定されるもの
無機質 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
食材名 | ナトリウム mg | カリウム mg | カルシウム mg | マグネシウム mg | リン mg | 鉄 mg | 亜鉛 mg | 銅 mg | マンガン mg | ヨウ素 μg |
たけのこ 若茎 生 | Tr | 520 | 16 | 13 | 62 | 0.4 | 1.3 | 0.13 | 0.68 | 4 |
たけのこ 水煮缶詰 | 3 | 77 | 19 | 4 | 38 | 0.3 | 0.4 | 0.04 | 0.68 | 0 |
ビタミン | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
食材名 | ビタミン A μg | ビタミン D μg | ビタミン E mg | ビタミン K μg | ビタミン B1 mg | ビタミン B2 mg | ビタミン B6 mg | ビタミン B12 μg | 葉酸 μg | ビタミン C mg |
たけのこ 若茎 生 | 1 | (0) | 0.7 | 2 | 0.05 | 0.11 | 0.13 | (0) | 63 | 10 |
たけのこ 水煮缶詰 | (0) | (0) | 1.0 | 1 | 0.01 | 0.04 | 0.02 | (0) | 36 | 0 |
ビタミンE :α-トコフェロールの値を記載
4.たけのこの選び方、調理方法、保存方法
たけのこの選び方
たけのこは重さ1kgほどの重さのものがちょうどよくえぐみを少なく食べやすいです。
切り口はみずみずしく外皮は乾燥していないしっとりとした肌触りのものを選ぶと鮮度が良いたけのこを選ぶことができます。
たけのこの調理方法
たけのこは生の状態だとシアノゲンと呼ばれる青酸の前駆物質をもつためわずかな毒性を持ちます。
そのためゆでてあく抜きをする必要があります。
下処理
たけのこは先端が中身も硬く食べにくいため最初に切り落とします。
切り口に沿って縦に深さ2㎝ほどの切れ込みを入れておくとゆでる際に火が通りやすくなります。
加熱料理
たけのこをゆでる時には米のとぎ汁とトウガラシを用いて皮つきのまま2時間ほどゆでるのが効果的です。
米のとぎ汁のでんぷんコロイドがえぐみ成分を吸着し、食べやすくします。
皮を付けたまま茹でるのはたけのこの皮に含まれる亜硝酸がたけのこを漂白して繊維を軟化させる効果があるためです。
ゆで汁はたけのこ保存液としてとっておきましょう。
ゆでたたけのこは食べやすい大きさに切って煮物や炊き込みご飯の材料にすると美味しく食べることができます。
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編集中
たけのこの保存方法
たけのこは成長が早く収穫後も代謝して品質が落ちるので調理した状態で保存するのがおすすめです。
調理後はあまり長持ちしませんが代謝を止めて品質を保たせることができます。
ゆで汁に付けた状態で冷蔵庫で保存した場合の保存目安は3日ほどです。
皮つきの生の状態で冷蔵庫に保存した場合の保存目安は1週間ほどです。
3日以内に使いきれない分はで食べやすい大きさに切ってゆで汁と一緒に保存袋にいれて冷凍保存することで3ヶ月ほど保存することができます。
水分が無い状態で冷凍するとたけのこは筋っぽい食感になるため注意しましょう。
解凍はまとめて行われるため1回分に分けて袋に入れるといいでしょう。
食材の状態、保存環境によって保存期間は変化します。
使用する際はカビの有無や乾燥状態、冷凍の場合は冷凍焼けしていないかなど食材の状態を見たうえで使用するか各自で判断してください。
参考文献 下線ありのものはクリックで参考先に飛ぶことができます。
【1】PDF: 福岡県森林技術センター 福岡県特用林産復興会:中小形たけのこの生産技術
【2】加藤保子、中山勉編:食品学Ⅱ 食品の分類と利用法改訂第2版、株式会社南江堂、2016、P70
【3】香西みどり監訳:マギーキッチンサイエンス -食材から食卓まで、共立出版株式会社、2021、PP305
【4】日本食品成分表 2023八訂
たけのこ 若茎 生
たけのこ 水煮缶詰
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5年おきに改訂しているため最新版であることを確認した上で購入したほうがいいです(2024時点は8訂が最新)。
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